「空白」


 会いたければいつだって連絡出来たはずだった。
 アドレスも電話番号も住んでるところだって知っていた。


 なのに彼女がいない3年間、僕らはたったの1度のメールすらしなかった。


 僕はバイトを始めた。金を貯めて家を出た。
 環境を変えて、僕の世界から少しずつ彼女の色を拭っていった。



「悠と季佳ってさぁ、別れちゃったの?」


「うちの後輩がお前に会いたいって言ってんだけど」


「……好きです」



 僕の部屋から、タバコのにおいが消えていた。





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