気付いてほしいような。ほしくないような。
 つまりこれは、私とあいつのかけひきなのです。



 秘め事


 バスが、1時間に1本しか来ないとか。
 さっき、そのバスが行ってしまったばかりだからとか。
 バスがないと、家まで帰れないとか。
 雪が、降ってるからとか。


 この瞬間を正当化する理由ならいくらでもある。


 でも。
 でも今、僅かに残る熱の理由を問われたら、
 自分は何と答えるのだろう。


 目覚めたあいつに、
 "どうして?"
 なんて尋ねられたら自分は一体どうするのだろう。


 考えながら、心のどこかでそれを期待している自分を見つけて小さく苦笑する。


 (さて、次のバスの時間になる前に帰るかなー)

 
 帰り支度を始めた季佳の背後。
 悠がうっすらと目を開けたのに、彼女は気付いているのかどうか。




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 考えてたのとはちょっと違うお話になってしまいました。なんでだろう?
 予定ではもっと甘いのになるはずだったのになぁ。うむむ。
 いつか雪の日ネタにリベンジしようと思います。
   




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