今日ほど、自分が女の子だったらよかったのにと思ったことはない。
もし僕が女の子だったら、僕もあの子たちに混ざって、君に想いを告げることが出来たかもしれないのに。
少なくとも、今みたいに辛い思いをすることなんてなかったはずなのに……
越えられないものは
ホームルーム終了直後の教室。ひとつの机を取り囲んで、女の子たちがきゃーきゃー騒いでいる。彼女たちの中心には、困ったようにわらう凪。
いい加減見慣れた光景だけど、やっぱり面白くない。
(帰ろ……)
楽しげな凪たちを尻目に、僕は手早く荷物をまとめて静かに席を立った。
どうせ今日"は僕には関係のない日だ。早く家に帰ってさっさと寝てしまおう。
……それに明日になれば、まるで何事もなかったかのように、またいつもの生活がかえってくる。
「――由維」
教室を出る瞬間、喧騒の中に僕を呼ぶ声が混ざったけれど僕は聞こえなかった振りをした。
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いいわけいいわけ。
15日アップになりましたが一応バレンタインもの。
続く予定です。
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