ただ傍にいることがこんなにつらいなんて思いもしなかった。




   素直過ぎた嘘 sideB




 君の隣は何故だかとても居心地が良かった。
 他の誰よりも、君に近いところにいられることが誇らしかった。



 (わかっているつもりだった)


 
 だから決めていた。
 この気持ちの名前を見つけたとき、僕は君から離れようと。
 本当の終わりを知る前に、この手で終わらせてしまおうと。



 (吐き出した言葉)



 君に嘘を吐き通す自信なんてありはしないけれど、
 どうかこの一瞬だけは、素直に騙されて。

 


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 僕らの関係は、お互いの心に蓋をすることで成立していた。
 お互いがお互いを思いながら、心の底では相手を拒んで。



 
 微温湯のような世界で、僕らは恋をしていた。
 

 
 
 




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